飛行機といえば4つのエンジンに前方が2階席になっている機体を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。
その機体はジャンボジェットの愛称で親しまれている「ボーイング747」という旅客機で、かつては日本の空に多く飛んでいました。
今回は飛行機の代名詞といえるほど知名度のあるジャンボジェットの歴史や快適性、現在の活躍状況をご紹介していきます。
ボーイング747とは
今回ご紹介していくボーイング747は、1969年に初飛行が行われた歴史ある飛行機です。
4つのエンジンを搭載し、航空機として当時はじめて2階席を搭載したその姿はこれまでに存在しない革新的な旅客機でした。
それまで飛行機を使用した旅行というのは非常に高価で、お金持ちでない限り利用するのは難しいでした。それは1機辺りに載せることができる乗客数が少ないことも大きく影響していました。
ボーイング747は、「ジャンボジェット」の愛称で親しまれるほど巨大で多くの乗客を載せることができたことで、庶民による飛行機を使った旅行というのを身近な存在にした功績を持つ偉大な機体です。
日本でも1970年代から2000年代にかけて多くのボーイング747が飛んでおり、世界一のジャンボ王国と称されるほどでした。
技術に進歩による双発機の時代が到来
2019年でボーイング747は誕生から半世紀となる50年目を迎えました。
今なお主力機として活躍している航空会社も存在しますが、既に生産のペースは大幅に減少し、貨物機のみの受注残となっています。
その背景には、技術の進歩による航空機の規制緩和や、運航コストを抑えた双発機の台頭があります。
かつて太平洋や大西洋を横断する路線では、エンジンの数が重要視され、2つだけのエンジンを搭載した双発機は洋上飛行が許されず、国際線で活躍する機会は限られていました。
しかし、1990年代に入りエンジン開発の技術も進歩し、燃費が良く安全性も証明されたボーイング767やボーイング777が誕生しました。
その結果、エンジンを4つ搭載したボーイング747は、時代の流れとともに燃費が悪く、運航コストのかかる機体として減少し続けています。
魅力は美しいフォルムと特別感
ボーイング747の魅力は何といっても美しいフォルムにあります。
現代の航空機では、空気抵抗による燃費なども計算されたデザインですが、ボーイング747が開発された1960年代には現代のような技術が存在しませんでした。
基本的なデザインに関しては初登場の1969年から何も変わりませんが、古さを感じることなく、スタイリッシュで全世代に愛される美しいデザインなのです。
海外旅行はいつも一緒
そして先ほどもボーイング747は、庶民による飛行機を使った旅行を身近な存在にした機体とご紹介しましたが、新婚旅行やはじめての海外旅行をボーイング747と過ごされた方は多いのではと思います。
巨大な機体、2階席へつながる階段の存在というのは、飛行機に興味がない方でも鮮明に記憶があるという話をよく聞きます。
思い出の側にいてくれた機体でもあるのです。
圧倒的な飛行安定性
ボーイング747が愛される理由の1つに圧倒的な飛行安定性も挙げられます。
飛行機に乗っていると気流の影響や雲の存在などで揺れることも良くあると思います。
そんなときでも機体が大きいボーイング747は、他の機体よりも安定感のある飛行を継続してくれるため、頼もしさすら感じることでしょう。
そして窓の外から見える翼から吊り下げられた片翼2つのエンジンにも安心感がある魅力があります。
日本の政府専用機としても使用された
旅客機として高い人気を誇るボーイング747ですが、各国の政府専用機としても活躍する機会は多く、ここ日本でも政府専用機はボーイング747-400が1992年より使用されています。
当時は一世代前のボーイング747となる747-400型の生産が始まった頃で、日本航空と全日空でも導入を進めていました。
日本政府としても首相の外遊などで使用する機会を考え、採用されたのが747-400でした。
残念ながらこちらの政府専用機も2019年3月をもって役目を終える予定で、後継機にはボーイング777-300ERが採用されています。
政府専用機においても双発機が採用されるほど、時代は進んでしまったのです。
今、ボーイング747は飛んでいるの?
日本の航空会社では姿を消してしまったボーイング747ですが、2019年現在も旅客型だけでも全世界20社以上で運航されています。
その中でもヨーロッパの航空会社が目立ち、各社で長距離路線の主力機として今なお運用されている印象です。
2019年現在ボーイング747オペレーター(抜粋)
- ブリティッシュ・エアウェイズ(イギリス)
- ルフトハンザ(ドイツ)
- KLMオランダ航空(オランダ)
- 中国国際航空(中国)
- 大韓航空(韓国)
- タイ国際航空(タイ)
- カンタス航空(オーストラリア)
日本でボーイング747を見る方法
日本で見かける機会が減少してしまいましたが、現在もボーイング747の姿を日本国内で見ることができます。
羽田空港では、毎日定期便にてボーイング747-400および最新型であるボーイング747-8が飛来しており、日本でもっと気軽にボーイング747を見ることができる空港です。
その他にも成田空港や北海道の新千歳空港、大阪の関西国際空港、沖縄の那覇空港などで毎日のようにボーイング747を見ることができます。
しかし日本の航空会社からは既に姿を消しているため、全て海外の航空会社となります。
- タイ国際航空 羽田=バンコク線 毎日2便運航 ボーイング747-400
- ルフトハンザ 羽田=フランクフルト線 毎日運航 ボーイング747-8
- ルフトハンザ 関西=フランクフルト線 毎日運航 ボーイング747-400
- カンタス航空 羽田=シドニー線 毎日運航 ボーイング747-400
- チャイナエアライン 那覇=台北線 毎日運航 ボーイング747-400
貨物機はこれからも主力機材として活躍
旅客型としては数を減らしているボーイング747ですが、貨物機としてはこれからも主力機として世界中を飛び続けます。
旅客型と違い、貨物機は搭載できる貨物の量が重要となります。そしてボーイング747の貨物型の最大のメリットは、機体機首部分が開閉することで、通常サイドに存在する扉に入るサイズよりも大きいサイズの貨物を1度に搭載することができます。
世界中で開発された航空機を見渡しても、量産型として多くの機体が生産されたのはボーイング747だけなのです。
日本でも日本貨物航空が最新型のボーイング747-8Fを保有しており、成田空港を拠点として運航されています。
その他、米軍用チャーター便としてアメリカ系の貨物航空会社が米軍基地などにボーイング747貨物型を飛ばす傾向も目立ちます。
飛行の動向などは「Flightradar24」というサイト/アプリがおすすめです。世界中で飛んでいる飛行機をリアルタイムで見ることができます。
やはり旅客機といえばジャンボジェット
今回ご紹介してきたボーイング747ですが、旅客機の代名詞ともいえる存在で大人気の機体です。
旅客型としては着々と数を減らしていますが、まだ全世界では20社以上がボーイング747を運航しているため、完全消滅までは時間がかかるでしょう。
4発のエンジンや、特別感あふれる2階席はボーイング747だからこそ味わうことができる空間です。
同じクラスにA380という超大型機が存在しますが、ボーイング747だから感じることができる力強さや、若干狭く感じる2階席こそジャンボジェットの名にふさわしい存在です。